最近映画化されたあり、教科書にも掲載されたことがあるらしい・・有名な作品です。
テーマはキリスト弾圧の江戸時代。20年も日本で布教活動をしていたフェレイラ司教が棄教したとの報告を受け、宣教師ロドリゴとガルペはマカオで棄教したキチジローという日本人の手ほどきを受け日本に入る。
しかしキリスト教徒への迫害厳しい時代。日本に入り平和な日々は続くはずもなく、自身の弱さお金のためにキチジローは貧しい農民信者らやロドリゴらを幕府に売ります。
キチジローの密告により、ほどなく幕府役人らに捕らえられた農民信者、ロドリゴ、ガルペたち。待っているのは不潔な牢獄生活、そして拷問、惨殺です。何も罪無き農民らが海に沈められる姿を目にしつつロドリゴは神に祈りますが救いはもたらされなかった。本当に神はいるのか?と教徒であるなら絶対疑ってはならない一線を越えます。それでも神は沈黙をしています。
また罪なき貧しい信者、そして同じく一緒に日本へと渡ってきた仲間のガルペをを飲み込んだ海は何も語りません。
この物語はいくつもの場面で、殉教するか否かの選択を通して人としての最大の苦悩が描かれています。また苦悩を通して信じるものへの愛の形の昇華も描かれています。
キリストを題材にした本格小説であり信者でなくとも、一生の間に一度は目に通していただきたい特別な一冊です。
沈黙改版 (新潮文庫) [ 遠藤周作 ]
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