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バラカ(桐野夏生著)

バラカを読みました。600P超えの大作でしたが筆力のある方なので大量のページでもサクサクとページを進めることができました。
3.11大震災を前後してドラマは進んでいきいます。大震災は実際の災害よりはるかに大きく福島原発は4基すべて爆発、東日本は放射能により住めなくなり大阪に首都機能を移した想定になっています。
震災より8年前にバラカは貧しい日系フィリピン人夫婦に生まれるも、大人たちの身勝手な都合により運命を翻弄されていく。
冒頭は貧しい日系フィリピン人夫婦の酒におぼれたことにより家庭崩壊、結局バラカと離ればなれになる哀れな夫婦の話からはじまる。そして場所は日本に移り、悲しい男はいらないけど子供が欲しいというアラフォーの沙羅が登場。沙羅はバラカをドバイで買うも、自分になつかずバラカを手放そうとする。
沙羅の夫カワシマはミソジニーでありバラカはもちろん沙羅も愛することはなく、沙羅とは世田谷の財産目当てで結婚した男だ。本格的に沙羅とそして震災後は反原発派のプロパガンダとして祭り上げられたバラカを金のなる木としか見ていないないのであった。
ここで震災が発生、沙羅は津波にのまれ死亡、震災直後混乱の最中カワシマから逃げるようにバラカは行方不明に。そしてバラカは豊田に出会い豊田と生活を共にするも政府をはじめとする原発推進派からは反原発活動者とされ逃亡生活が始まる。逃亡生活は平穏ではなく、時に拉致されたり命がけのつなわたりの日々。またバラカの知らぬところで反原発派/原発推進派の広告塔として扱われていき、バラカの運命は翻弄されていく。逃亡生活と並行して、本当の父親パウロのバラカ探す様子が描かれている。

この本は女性として子供を持つか?一方で仕事は限界が見える・・といったアラフォー女性の複雑な悩みと、女性嫌悪、身勝手、宗教、原発問題などいくつものテーマがバラカを通して盛り込まれているワンプレーとディナーのような感じだ。
この作品を一言であらわすなら人間の中に棲みついた悪魔のレポートだと思う。バラカを買った沙羅も自分の欲望のため、カワシマも何人もの女性を傷つけながらも財産目当てで沙羅と結婚してみたり、沙羅親子を陥れている。原発事故も自然災害を端に発する結局は利権のために震災後は、震災すらなかったように原発推進派はふるまう。何もかもが「自分らの思い通り」にしたい欲望の塊なだけである。
先ほどワンプレートディナーと書いたが、これは1つ1つのテーマが重いのにちゃんと消化できずに唐突に終わってしまう点、もっと背景を深く掘り下げて欲しい面があった。
カワシマのミソジニーはなぜなのか?背景もわからないし、何故自殺するとか?またもう少しのところでバラカの本当の父親パウロがあきらめてしまうところも読者目線からすればもどかしい。
エピローグでその後があるが、悪魔たちに翻弄されたバラカの存在が軽すぎるように思えた。また違った作品で今回扱ったテーマを別の作品として追記してほしい気持ちです。
650ページを読了させられるのだから面白いといえば面白い、だけど読了後すっきりしきれない。

 

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