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らんちう~赤松利一著

「住所不定無職」の新人作家、赤松利一さん。新人といっても1956年生まれで人生の先輩です。

今回の作品は、「らんちう」。らんちうとは、奇形こそ誉れな高級金魚。

ストーリーはリゾートホテルの総支配人が殺害。殺害の犯人は、旅館従業員全て。犯罪小説でありますが、この作品はあらかじめ殺害シーンが描かれています。だから犯人はもうわかっているのです。
被害者の総支配人は、従業員から嫌われ、殺されても仕方が無いような人物です。犯人はわかているのですが、事件の真相がつかめるようでいて、つかめない。物語は事件関係者からの供述形式で進みます。
供述の中では、リストラ、貧困、格差、ブラック企業のテーマが盛り込まれている。生活保護者の実態、が供述の中で出てきます。現実は1つなのに、供述者により全く異なる世界観でとらえられていること。

現在の日本社会の闇部分を、次々と読者に提示され、読み進める手をとめることができない。中盤までは従業員の境遇に寄り添えるような内容、ところが中盤から次第に事件の発端となる全容が見え初めてきます。支配人の妻でもあり、従業員からも慕われる美人の若女将の正体も次第に見えてきます。
今回の事件とは無関係に思える自己啓発セミナー。
自己啓発セミナー、こうした◎◎セミナー関係のほとんどは相対的貧困者層という事実。現代社会にはびこる格差、搾取する側、される側の現実を容赦なく突きつけられる。バブル時代を生き、底辺といえるラインにまで転落した作者だからこそ描ける、社会暗部の世界に対する怒りが横たわっています。
何人かの従業員が出てきますが、まともなのは意外なアノ人です。
タイトルの「らんちう」はグロテスクな世界を表しています。

エグイ描写も一部ありますが、殺人ものを読める方であればオススメできる一冊。
お次は、同作者の「鯖」が待っているので、こちらも楽しみです。

占いブログだから命式を・・と思いましたが、1956年生まれとしかわかりませんでした。
お名前をみると、合理的かつ負けず嫌いな方です。好き嫌いがはっきりしているので、嫌いな相手にはそっぽを向く面も。だから受け入れキャパは広くはない。
正義感が強いので、不正やズルを嫌う。また持ち前の勝気さが活かされると目的達成のための実行力は素晴らしいものがあるでしょう。
占星術では木星冥王星が獅子座の終わりにありそうですが・・生年月日が不明なのが残念だ。

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