2018年冬映画化され現在公開中の東野圭吾さん作品です。映画はまだ観ていませんので、あくまで原作を読んでのお話。
会社経営者の播磨和昌と妻薫子は二人の子供に恵まれるも、夫の不倫で二人は別居。そんな中で娘の瑞穂がプールで溺れて脳死状態になる。臓器移植か死を待つかの選択の中で、かすかな瑞穂の生きる力を感じた両親は、夫の財力と最新技術を使い延命する。延命といっても回復の見込みはない。しかしその一方で瑞穂は目の覚めることのないまま、最新技術を駆使して成長していく。
当初は家族も瑞穂を延命することに必死だったが、時間の経過とともに狂気ともいえる薫子の行動は家族からも浮いていく。そして弟生人の誕生パーティーの日に事態は動いていく。
ラストはネタバレなので書きません。本書は生と死はどこで決められ、脳死判定のされていない人間は死人なのか生人であるのかということ。また自分の子供が置かれた時に脳死かもしれない。。しかしわが子をどんなことをもっても生きて欲しいと願う親の気持ちも理解できる、かといって回復する見込みのないまま時をすごすことが良いのか・・・子供の臓器移植の問題も一緒に含まれており、生に対する重いテーマが重なります。ちなみに弟の名前は生人であり、本書のテーマの1つである人の生と死のボーダーラインとリンクしています。
薫子が名前を偽りボランティアに参加する部分は、現在の国内の臓器移植問題を提起に一役買っていますが、ちょっとムリがあるかな~なんて思いました。
重い内容なのに、さすがに東野さんの文章は読みやすいので一気に読み進めることができます。
絶対正解は今の自分にもわからないですし、正解は人により感じ方は様々でしょう。ラストは良い感じにまとめられており、重いテーマなのにすっきりと読了することができました。
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