著者の地元、富山県のとある商店街をモデルにした町おこしに奮闘する姉妹のお話。
昭和時代に賑わいを見せた商店街もいまや郊外の大型ショッピングモールに押されシャッター街化する地方田舎都市はたくさんある。あなたの周りにもいくつも点在するのではないでしょうか?
ストーリーを紹介すると、地方都市◎◎商店街の老舗本屋の長女タカコ。タカコは地元市役所に勤める真面目だけど地元しか知らない生粋の地元っ子。タイトルの「メガネ」の方である。妹ショーコは高校を中退し10年の家出。久しぶりに商店街に帰ってきたときには未婚の母。タイトルのもう1つ「放蕩娘」とは妹ショーコを指している。企画力もあり行動力ともに抜群のショーコの二人が地元人、かつて商店街で青春を謳歌した、地元大学のまゆみ先生らを巻き込みながら、商店街活性化に向けて奮闘する社会ストーリーだ。
かつては栄華を極めつつ、車社会に対応もできず商店街が寂れていった商店街は日本に数え切れないほどあります。
傍観者となり地元をディスる人、かたや商店街の人間として奮闘する人と街を軸にそれぞれの立場の違い、視線が描かれている。
面白いのは商店街がなぜシャッター化しているのか、商店街復興にかける想いの年齢層により温度差の違いなど、商店街の性質を詳細にリサーチしなければ、わからない事が数々描かれており、商店街とは無縁の私には知りえないからくりが描かれており、社会学勉強になりました。
また街作りだけでなく、「いいとこどり、だけど華をもたせてほしい:扱いの面倒な市役所中年男性星野とイマドキの若者とのバトルも織り込まれており、こちらもなかなか面白かった。
この本で学べることは社会学からみた商店街の視点がメインですが、30歳過ぎたら、愚痴って傍観者気取りをするのではなく、行動して飛び込んでいくことの意味まで盛り込まれており、エンタメの楽しみだけに終わらない面が良かったです。ちょっとした社会学ミニ講座に出ている感じがしました。
全体に面白いのですが、ラストのタカコの変わりようが強引設定すぎやしないか?気になりました。
メガネと放蕩娘 [ 山内 マリコ ]
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