桜風堂ものがたり～村山早紀著

「本屋大賞2017」でノミネートされた作品で、書店員を主人公にしたお話です。
家族縁もうすく人見知りの月原一整は銀河堂書店に勤める青年です。目立たないながらも目利きの書店員であり「宝探しの月原」と呼ばれる。ある日万引を中学生を追いかける中で中学生が事故。これによりネットで炎上し銀河堂書店を退職する事態にまで追い詰められた。
とある作品売り込みに熱意を注ぎその作品の発売を手がけることもできず退職。失意の一整は、以前からネット上で書評交換をしたり親交のある桜風堂をたずねた。
桜風堂を手伝うことになり再び書店員に戻るが、かつての職場仲間、ネット友人、出版社の営業マンと・・旧知の人達が、一整がかつて推していた、とある作品を売り出すことに協力しあい奇跡を生み出す。
書店員のストーリーものは初めてです。書店員のお仕事。特に各コーナーのＰＯＰや売り場装飾の思い入れがこれほど強いものとは、恥ずかしながら知りませんでした。家からは書店が遠いので車でないと行くことができません。そのため普段はもっぱらネット購入です。それでもたまに書店に入り、新しい本の出会いを捜し求める時間が好きです。これからは書店員の思い入れのあるＰＯＰを楽しみながら書店めぐりをしたい。

この他では普段職場で言葉を交わすことが少なくとも、仕事ぶりを見ている人は見ているものだと感じました。またピンチ時に手をさしのべてくれる存在の大きさを感じさせる。人の心も温かさとは「辛」という文字に一本の橋渡しの役割を果たし「幸」へと導く有効な「手」となることを改めて感じさせてくれました。

この本は読了後もほんわかさせられ、本屋めぐりが一味変わると思います。