この先、超多死社会が訪れる日本。生まれてきたからには必ず死を迎えます。そして誰しも一度は身近な人との別れを経験します。
いずれ訪れる「別れ」をサポートする方々が、葬送の仕事師たちだ。
昔は差別問題もあり、葬送の仕事について著書だけでなく、映画化されるなど一般向けに語られるようになったのは、最近になってからです。
この本は遺体と真摯に向き合う葬儀ディレクター、湯灌、納棺、復元、 エンバーマー、火葬などなど。エンバーマーは薬剤を使い生前の状態に近づける復元する仕事で初めて耳にする職業です。向き合う遺体は時には目を背けたくなるような状況もある。また遺体の腐敗が進むため時間との戦いながら、遺族のもとへと最後の別れを演出する方々のプロ意識と、気遣いに頭が下がる。
家族に囲まれながらあの世へ旅立つ人、また事情があり孤独な死を迎えた方も、必ず葬送の仕事師たちの手であの世へと旅立つのだ。よく死ぬ時は一人だといわれるが、最後の最後は一人ではないと気付かされた。
社会には必ず必要とされる仕事がある(そのような職種ほど厳しい労働条件、低賃金であるとか社会の矛盾がありますが・・)。その中にも「葬送の仕事師たち」の存在を忘れてはならない。いつかお世話になる方々に偏見がなくなることを願いつつ、感謝と敬意を表します。