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コーヒーが冷めないうちに~川口俊和著~

2017年本屋大賞ノミネート作品。

喫茶店フニクリフニクラのある席に座ると、過去に戻れるという都市伝説がある。
過去に戻るにはいくつもの面倒な条件をクリアしなければならない。野次馬はこの条件の多さで
過去にいくことをあきらめてしまう。
何故なら過去に行ったとしても現実は変わらない・・この変わらない現実が、多くの野次馬の
関心をそぐ結果になっている。そんな過去に戻れるある席をめぐり、4つの短編が描かれている。

1つ目は付き合ってい彼から別れ話を切り出されたOLの話。
2つ目は若年性認知症を患った夫と看護師である夫婦の話。
3つ目は常連客の一人とその妹の話。
4つ目は妊娠しているマスターの妻のお話。

で展開されます。
条件で重要な点は過去に行ったとしても、現実に起きることは変わることはありません(この点が他SFと違うところかな)、
改めてその時間に巻き戻したり、飛び越えることにより見えてくるものがある。
今日があるからといって、明日が必ず来るとは限らない。だからこそ意地を張って
大事な人には、伝えるという努力を忘れてはならないと想った。
この作品の根本のテーマは「現実がたとえ変わることはなくとも、心のあり方次第で
人間は辛い現実でも、乗り越えていける力があるのだ」ということでしょう。

作品は時々状況説明と台詞の繰り返しになり、上っ面だけの文書のようになり、充分ストーリーに
入り込めない面もありました。やはり脚本調で書かれる文体は、脚本の上に俳優が関わることで
1つの作品に完成していきます。プロットは面白いのに、一人一人の登場人物の背景がよくわからない
点があったり、存分に入り込めない、わかりにくいと感じさせる物足りなさは小説としての文章に
消化しきれていないからか?と感じました。
「4回泣けます」と宣伝でありましたが、私は泣くことはなかったけれども作品構成は好きです。
4つの中では。認知症の夫と看護師の妻のエピが一番、心に響きました。

続編には、いつもあの席にすわるワンピースの女の過去とは?またミキが計に会いにいくに至った時の話もあるといいなあ。しかし流の次店長がなぜあの彼なのか?そこまでの設定にする必要あるのか?と疑問点もありましたが、楽しめる一冊です。

ちなみに続編は出版されていて「この嘘がばれないうちに」というタイトルだそうです。続編は私この疑問が解けるものなのか?はたまた全く別のエピソードによるものなのかは、おいおい読書して確認したいと思います。

もうすぐ公開される映画の方は、どのようになっているのか気になります。

 

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