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日本国最後の帰還兵深谷義治とその家族

2016年6月2日

深谷義治さんのお名前をご存知でしょうか?
戦後の中国で極秘スパイとして潜伏し続け、1958年に逮捕され獄中生活となった。俊雄さん自身の記憶、また義治さんとその家族の中国での獄中生活と極貧生活での記録を義治さんと、敏雄さんが記した記録本です。

深谷さんは軍からの命令でスパイ活動をし、スパイ活動のために偽物の名前、偽装結婚をしスパイ活動を続けた。1958年に中国当局に逮捕、投獄生活がはじまる。中国当局からはスパイであると自白をさせるべくあらゆる限りの拷問と虐待をし続ける。しかし深谷さんは、軍人としてまた日本の名誉を守るべく沈黙を続ける。中国当局の暴挙は筆舌につくぎがたく、時には人相を変えるために麻酔なしで永久歯を一日に6本も抜くなど人権なという概念など存在しない世界である。
こうしたひどい扱いは深谷さんの妻や子供にもおよび「軍国主義」とか「鬼の子」、「反革命分子」とさげすまれ極貧生活と差別の生活を強いられる。
どんな拷問にも耐える義治さん本人の強靭な精神力、また極貧と差別を受けながらも義治さんを恨み、見捨てることのなかった妻とその子供たち。どれほど獄中で寒くても残された家族に気遣い、差し入れの服を拒む義治さん。服は長い獄中生活の間で何度もあて布、ほころびを直し続けたため長いズボンが半ズボンになってしまったほどです。

この記録を読むにあたり戦争は「終戦」と宣言しただけで終わることはなく、何十年も続くものなのだと考えさせられる。
この著者は次男である敏雄さんですが、義治さんと帰国した当初は日本語もできませんでした。また日本語教育も受けることなく自力で日本語を覚えていきました。正確に家族との間のことを記憶しているだけでなく、日本語文書をここまで起こすには相当の努力が必要であったはずです。
そこには何が何でも戦争の現実を後世に伝える、、、その執念を感じます。分厚い本ですが次々と頁を運ばせてくれます。

深谷義治さんの命式

壬壬乙
午午卯

調舒星 天極星

牽牛星 牽牛星 調舒星

天報星 貫索星 天報星

とても熱い心を持っているかと思えば冷静であったり、一方でナイーブな面もあるなど二面性が強まる。牽牛星が2つあり責任感が強く自分の役割に忠実。牽牛星は陰の攻撃本能ですから集団での攻撃です。だから軍といった統制のとれた組織の中で良さを発揮するでしょう。上官の命令、日本の名誉を守るためにも拷問にも耐えた深谷さんです。牽牛星らしさが出ているとおもいませんか?
また牽牛星が2つあることから深谷さんが自分を曲げない芯の強いところ、ブレない忍耐強さが表れていますよね。中年期と老年期2つの天報星は深谷さんの人生が老年期まで安定しないことを暗示しているかのようです。
おもしろいのは牽牛星と調舒星からなる生殺局があること。自分の内面と態度に葛藤があり一致しないことを表します。深谷さんはごく一部の上官を除いては軍部にも、そして周りの人間にもスパイであることを隠しました。
北と東の間で生殺局となっていることがスパイ活動と自身の葛藤する構図と一致しているようにおもいます。
また宿命律音です。自分が二人いる命式で時に天将星的な力を発揮。また遠く離れた社会、そして子供らとも一心同体になっています。子供たち、そして遠く離れた日本と強い絆があることが伺えます。

 

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